前回では、Moodleで学生に行ってもらう活動の一つとして、小テストの作成方法について紹介しました。
このような活動を学生が行った後は、それを評価、採点してあげる必要があります。
この学生の活動への評価を、Moodleでは「評定」と呼んでいます。
今回は、Moodleでの小テスト作成方法について、もう少し詳しく説明しながら、評定の方法について紹介します。
さて、一般的な小テストの実施、採点の例として、以下のようなものを考えてみましょう。
- 問題を作成する
-
まずは問題を作成します。
問題は大問2つで構成することにします。- 大問1はシンプルな○×問題とします。
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大問2は、小問題5つで構成します。
小問1~4は多肢選択問題、小問5は記述問題とします。
- 配点を設定する
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それぞれの問題の重要度に応じて、配点を考えます。
- 全体で100点満点とします。
- 大問1,2の配点はそれぞれ50点とします。
- 大問2の、小問1~4の配点はそれぞれ5点とします。
- 大問2の、小問5の配点は30点とします。
Moodleでは、このような設定の小テストを学生に受験させ、採点を自動的に行ってくれます。
具体的な操作の流れについては、以下の通りです。
前回で既に○×問題は作成済みですので、そこに大問2を追加しましょう。
複数の小問からなる大問を作成するには、Cloze(穴埋め問題)形式が適しています。
「問題バンク」の「問題の作成」から、「Cloze(穴埋め問題)」を選択します。
Cloze(穴埋め問題)形式は、特殊な文法を使って問題テキストを記述することで、複数の様々な形の問題をまとめて作成することができます。
例として、以下の文章をそのまま貼り付けてみましょう。
(moodleドキュメント 穴埋め問題(Cloze)タイプより修正して引用)
次の市がある州を選択してください:
* サンフランシスコ: {1:MULTICHOICE:=カリフォルニア#正解~アリゾナ#不正解}
* トゥーソン: {1:MULTICHOICE:カリフォルニア#不正解~%100%アリゾナ#正解}
* ロサンゼルス: {1:MULTICHOICE:=カリフォルニア#正解~アリゾナ#不正解}
* フェニックス: {1:MULTICHOICE:%0%カリフォルニア#不正解~=アリゾナ#正解}フランスの首都は {6:SHORTANSWER:=パリ#おめでとうございます!~%50%マルセイユ#違います、これはパリに次いで2番目に大きなフランスの都市です。~*#間違っています。もちろんフランスの首都はパリです。}.
このように記述し、画面最下部の「問題テキストをデコードおよび確認する」を押すと、以下のように表示されます。
問題テキスト中に記述された特殊な文法を解析し、
- 問題の解答群
- 与えられる点数
- 画面の表示メッセージ
などに分解されたものが表示されます。
なお基本的に、その他の項目については○×問題の作成時と変わりません。
穴埋め問題形式で解答者が入力する項目を作成するには、以下のルールで記述します。
- 問題を挿入したい部分に、"{~}"の形で入力する
- {~}と、中カッコで括られた部分が問題の定義だと解釈します。
- 最初に、問題の配点比(加重)を書く
-
"{1~}"と記述します。
例えば、この穴埋め問題全体の配点が100点で、問題テキスト中に問題を5つ記述し、それぞれ1, 1, 1, 2, 5と配点比を指定した場合は、最終的な配点は10点、10点、10点、20点、50点となります。
今回は、問題1~4が5点、問題5が30点の配分としますので、それぞれ1, 1, 1, 1, 6と入力します。 - 問題の形式を":~:"の形で入力する
-
問題の形式を、以下の中から選択し、記述します。
- MULTICHOICE
- 多肢選択問題です。複数の選択肢から、いずれか一つを選択して解答する形式です。
- SHORTANSWER
- 記述問題です。解答者が、直接文字を入力して解答する形式です。
- NUMERICAL
- 数値計算問題です。解答者が計算した値を入力します。
問題の形式指定は、両端に:記号を付ける必要があります。
- 正答を先頭に=を付けて書く
-
問題に対する正しい答えを、先頭に=を付けて記述します。
例えば、"=消費関数"と書いた場合、その問題の答えは「消費関数」となります。 - 誤答を先頭に~を付けて書く
-
問題に対する誤った答えを、先頭に~を付けて記述します。
例えば、"~需要関数"と書いた場合、誤った解答候補として、「需要関数」が追加されます。 - それぞれの答えの後ろに"#フィードバック"を付ける
- 前述の答えを選択した場合に解答者に提示するメッセージを、答えの後ろに続けて#記号をつけて記述します。
なお、この記述方法についての詳しい解説は、moodleドキュメント 穴埋め問題(Cloze)タイプを参照してください。
すべて入力し終えたら、「変更を保存する」を押します。
問題バンクに、作成した問題が保存されます。
前回で行ったように、問題を小テストに挿入します。
先ほど作成した問題の左側にある「<<」を押して、問題を小テストに挿入します。
次に、評点の配分を設定します。
大問1、2ともに50点の配分、全体で100点の配分とします。
入力を終えたら、「変更を保存する」を押します。
すべての設定が完了したら、実際に学生が解答する画面がどのようになっているのか確認してみましょう。
上部タブメニューの「プレビュー」を押します。
実際に生徒が解答する場合とほぼ同じ画面が表示され、実際に解答することができます。
ここで受験した結果(点数)は、記録されることはありません。
点数の記録も含めて、より"正確に"生徒と同じシチュエーションで確認したい場合、コースのトップページ右上にある「ロールを切り替える…」から、「Student」を選択して小テストページを開くことで実現できます。
次回以降では、このようにして自動的に集計される評定点のグラフ表示などについて解説する予定です。